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改正労働基準法の概要(平成16年1月1日施行)
平成16年8月30日更新
 今日、我が国の経済社会においては、少子高齢化が進み労働力人口が減少する一方、経済の国際化、情報化等の進展による産業構造や企業活動の変化、労働市場の変化等産業・雇用構造の変化が進んでおります。
 このような状況の下で経済社会の活力を維持・向上させていくためには、
@ 労働者ひとりひとりが主体的に多様な働き方を選択できる可能性の拡大
A 働き方に応じた適正な労働条件を確保し、紛争の解決にも資すること
を目的として、労働契約や労働時間など働き方に係るルールを整備することが重要です。
 このような観点から、平成15年7月4日に、労働契約や労働時間に係る制度について、多様な働き方に応じた実効あるものとするための見直しを行った「労働基準法の一部を改正する法律」(平成15年法律第104号)が公布され、関係する省令や告示とともに、平成16年1月1日から施行されました。
 
 このページは、関係者の方々に改正のポイントをご理解いただくことを目的として、改正事項の概要を整理しています。
 このページをダウンロードするか印刷して改正内容を十分ご理解いただくとともに、その内容を遵守していただくようお願いいたします。
 
目    次
1 労働契約期間の上限延長(第14条)
2 解雇(第18条の2)
3 解雇理由の明示(第22条)
4 専門業務型裁量労働制(第38条の3)
5 企画業務型裁量労働制(第38条の4)
6  就業規則(第89条)
7 有期労働契約についての暫定措置(第137条)
8 附則
1 労働契約期間の上限延長(第14条関係)
  1. 期間の定めのある労働契約については、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、契約期間の上限を3年(次のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)とするものとしたこと。
    1. 専門的な知識、技術または経験(以下「専門知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約
       この高度の「専門的知識等」を有する者とは、厚生労働大臣が定める基準によって、次のいずれかに該当する者としました。
      @ 博士の学位を有する者
      A 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士又は弁理士のいずれかの資格を有する者
      B システムアナリスト試験又はアクチュアリー試験に合格している者
      C 特許法に規定する特許発明の発明者、意匠法に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法に規定する登録品種を育成した者
      D 大学卒で実務経験5年以上、短大・高専卒で実務経験6年以上又は高卒で実務経験7年以上の農林水産業の技術者、鉱工業の技術者、機械・電気技術者、システムエンジニア又はデザイナーで、年収が1075万円以上の者
      E システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで、年収が1075万円以上の者
      F 国等によりその有する知識等が優れたものであると認定され、上記@からEまでに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者
      (いずれも従来と異なり、契約の更新が認められることとなりました。)
    2. 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(1.に掲げる労働契約を除く。)
  2. 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができるものとし、次の基準を定めました。
    「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」について
    1. 契約締結時の明示事項等
      1. 使用者は、有期契約労働者に対して、契約の締結時にその契約の更新の有無を明示しなければなりません。
      2. 使用者が、有期労働契約を更新する場合があると明示したときは、労働者に対して、契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければなりません。
      3. 使用者は、有期労働契約の締結後に(1)又は(2)について変更する場合には、労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければなりません。
      @ 更新の有無の明示
        明示すべき「更新の有無」の具体的な内容については、例えば下記の例を参考にしてください。
      ・ 自動的に更新する
      ・ 更新する場合があり得る
      ・ 契約の更新はしない   等

      A 判断の基準の明示
         明示すべき「判断の基準」の具体的な内容については、例えば下記の例を参考にしてください。
      ・ 契約期間満了時の業務量により判断する
      ・ 労働者の勤務成績、態度により判断する
      ・ 労働者の能力により判断する
      ・ 会社の経営状況により判断する
      ・ 従事している業務の進捗状況により判断する   等

      B その他留意すべき事項
       これらの事項については、トラブルを未然に防止する観点から、使用者から労働者に対して書面により明示することが望ましいものです。
    2. 雇止めの予告
       使用者は、契約締結時に、その契約を更新する旨明示していた有期労働契約(締結している労働者を1年を超えて継続して雇用している場合に限ります。)を更新しない場合には、少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません。
      ○ 対象となる有期労働契約
       ここでの対象となる有期労働契約は、
      @ 1年以下の契約期間の労働契約が更新または反復更新され、最初に労働契約を締結してから継続して通算1年を超える場合
      A 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
      です。
    3. 雇止めの理由の明示
      使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求し た場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。
      また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。
      ○ 雇止めの理由の明示
      明示すべき「雇止めの理由」は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。例えば下記の例を参考にしてください。  
      ・ 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
      ・ 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
      ・ 担当していた業務が終了・中止したため
      ・ 事業縮小のため
      ・ 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
      ・ 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため 等
    4. 契約期間についての配慮
      使用者は、契約を1回以上更新し、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければなりません。
      ○ 契約期間の上限は原則3年(一定の場合に上限は5年)です。
      (参考)労働契約期間について
       有期労働契約を締結する場合、その期間の長さについて、労働基準法第14条は次のように定めています。
      《原則》上限3年 
      (※)ただし、有期労働契約(特例3に定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限ります。)を締結した労働者(下記特例1又は2に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます〔この措置は、政府が、改正労働基準法の施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です。〕。
      《特例1》専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準(※)に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約→ 上限5年
      《特例2》満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約 → 上限5年
      《特例3》一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約
             (有期の建設工事等)    → その期間

  3. 行政官庁は、2.の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができるものとしたこと。

    有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準を見る
2 解雇(第18条の2関係)
  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とするものとしたこと。
※ 「解雇権濫用法理」とは、昭和50年に初めて最高裁の判例として確立されたものです。この判決では「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になると解するのが相当である。」と判示されています(最高裁第2小法廷 昭和43年(オ)第499号 昭和50年4月25日判決)。   

※ 本条については、衆議院及び参議院の厚生労働委員会における附帯決議において、
・ 「本法における解雇ルールは、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したもの」であり、
・ 「本法における解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」ことが立法者の意思であることが明らかにされています。

※ なお、整理解雇する場合には、
@ 人員削減の必要性(特定の事業部門の閉鎖の必要性)
A 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性(解雇回避のために配置転換等をする余地がないこと)
B 解雇対象の選定の妥当性(選定基準が客観的、合理的であること)
C 解雇手続の妥当性(労使協議等を実施していること)
が必要であるとされています(東京高裁 昭和51年(ネ)第1028号 昭和54年10月29日判決等)。
労働契約締結時における「解雇の事由」の明示(第15条)
 労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、労働契約の締結に際し、使用者は「解雇の事由」を書面の交付により労働者に明示しなければならないことが明確にされました。
3 解雇理由の明示(第22条関係)

 労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由を記載した文書の交付を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならないものとしたこと。

解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることとされました。(証明書のモデルの詳細については、最寄の労働基準監督署にお尋ねください。)
ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。 →解雇理由証明書のモデルを見る。
4 専門業務型裁量労働制(第38条の3関係)

  専門業務型裁量労働制の導入に当たって労使協定で定めなければならない事項として、専門業務型裁量労働制の対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置並びに当該労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずることとする旨その他厚生労働省令で定める事項を追加するものとしたこと。

専門業務型裁量労働制(第38条の3)
専門業務型裁量労働制を導入する場合には、労使協定で定めるところにより使用者が次の措置を講ずることを、労使協定で定めなければならないこととされました。
@ 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
A 苦情の処理に関する措置
B 協定の有効期間
C 労働者ごとに講じた@及びAの記録をすること
D Cの記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

※ 既に専門業務型裁量労働制を導入している事業場においては、上記事項について労使協定で定めた上で、改めて、労働基準監督署に届け出なければなりません。

※ 厚生労働省では、今回の改正労働基準法の施行にあわせて、労働者の健康・福祉を確保するための措置の内容などを盛り込んだ専門業務型裁量労働制についてのリーフレットを作成しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。
5 企画業務型裁量労働制(第38条の4関係)
  1. 企画業務型裁量労働制の対象とする事業場は、事業運営上の重要な決定が行われる事業場に限定しないものとしたこと。
  2. 企画業務型裁量労働制の導入に当たって労使委員会が行う決議の要件は、その委員の5分の4以上の多数とするものとしたこと。
  3. 労使委員会の委員のうち、労働者を代表する委員について、当該事業場の労働者の過半数の信任を得ていることとする要件は、廃止するものとしたこと。
  4. 労使委員会の設置に係る行政官庁に対する届出は、廃止するものとしたこと。
  5. 企画業務型裁量労働制を導入した使用者が定期的に報告を行う事項は、その対象となる労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況に限るものとしたこと。
  6. 労使委員会において、労働時間に関して労使協定により定めることとされている事項について決議を行う場合の当該決議の要件は、その出席委員の5分の4以上の多数とするものとしたこと。
  改正内容の詳細をみる。
企画業務型裁量労働制(第38条の4)
企画業務型裁量労働制については、導入・運用の要件・手続が以下のように改正されました。
@ 企画業務型裁量労働制の対象事業場について、本社等に限定しないこととされました。
A 労使委員会の決議について、委員の5分の4以上の多数によるものとすることとされました。
B 労使委員会の労働者代表委員について、あらためて事業場の労働者の信任を得ることとする要件を廃止することとされました。
C 労使委員会の設置届を廃止することとされました。
D 使用者の行政官庁への定期報告事項は、対象労働者の労働時間の状況及びその労働者の健康・福祉確保措置の実施状況に限ることとされました。
E Dの報告は、「決議の日から6か月以内ごとに1回」とすることとされました。

なお、企画業務型裁量労働制の対象事業場を本社等に限定しないこととされたことに伴い、対象事業場の基準を明らかにし、対象業務の明確化を図るため、「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」を改正しました。

※  厚生労働省では、今回の改正労働基準法の施行にあわせて、「労働基準法第38条の4第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」の改正の内容も盛り込んだ企画業務型裁量労働制についてのリーフレットを作成しておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。
 
6 就業規則(第89条関係)

 就業規則の記載事項のうち、退職に関する事項に解雇の事由を含むことを明らかにするものとしたこと。

就業規則への「解雇の事由」の記載(第89条第3号)
労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明確にされました。

※ 既に作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて、労働基準監督署へ届け出なければなりません。→記載例を見る
7 有期労働契約についての暫定措置(第137条関係)
 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、8の2の措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができるものとしたこと。
8 附則
  1. 施行期日(附則第1条関係)
    この法律は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとしたこと。
  2. 検討(附則第3条関係)
    政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、第14条の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。
  3. 経過措置等
    イ この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるものとしたこと。
    ロ 関係法律について所要の改正を行うものとしたこと。

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詳しいことは 最寄りの 労働基準監督署 または
神奈川労働局 監督課 045−211−7351
までおたずねください。

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